硫酸性地盤における基礎コンクリートの劣化について
松下氏の講演では、福岡近郊のぼた造成地盤における住宅束石コンクリートや布基礎コンクリートの劣化状況をもとに、原因究明した結果を報告されました。コンクリート劣化の主な原因は、硫酸イオンであり、特に地表面付近で硫酸イオン濃度が高いこと、コンクリート表面やひび割れ内部に生成された白色物質の成分分析結果、土中水や風通し、降雨の影響などにも言及されています。また、劣化状況調査結果と供試体による実験から、硫酸イオンは土中からコンクリート表面に沿って立ち上がることや、地表面から30cm 以下の範囲に限定されること、及びその理由についても解明され、遮蔽物の設置や床版下への全面シート張りにより劣化防止が可能なことを提案されました。最後に、九州地域の地層年代や炭坑の存在、地下水や土中温度などを基に、コンクリート劣化に関するハザードマップ
を作成中であることも報告されました。
九州大学名誉教授 松下 博通氏