気候変動下における公共事業のあり方
小松氏は,「気候変動下における公共事業のあり方」をテーマに話をされました。
近年の公共事業費削減が,マスコミの影響などで世論の支持を得られないことや政治的思惑などによるものであり,これでは将来国民の生命・財産を守れないのではと懸念されています。松原・下筌ダムで抵抗した室原氏の「公共事業は法にかない,理にかない,情にかなうものでなければならない」と言う言葉を紹介され,公共事業と他の産業との違いや地球温暖化の時代にいかに必要であるか,専門家は住民の一歩前を行く必要があるなどの話をされました。また,日本や世界で頻発する深刻な水害と旱魃を紹介され,北海道で発した降雨災害を例に九州ではそのレベルの降雨では災害が発生しないことから災害免疫力がいかに必要であるかを述べられています。そのためにも自助,共助,公助の意識の徹底が望まれるとのことです。また,両極端化する降雨パターンに対応した水資源の確保についても言及され,食糧危機の再燃なども紹介されました。すなわち,美しい国とは「自給・循環の仕組みが成立している安全・安心な国」と定義されています。
最後に,
①安全・安心のための明日への投資を怠るな
②食料・エネルギーの自給圏域構築および文化の伝承のために農村・中山間地域の健全化を図る
③防災と環境は文化力を示すバロメーターであり,安全・安心出来る国作りが必要
④地球温暖化による災害外力の増大に対し今こそ防災インフラの整備を図る
べき時であるの四項目を挙げ,講演のまとめとされました。
九州大学大学院工学研究院教授 小松 利光氏